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2015年06月25日

【小説】くだらない話 07

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side 神谷ナオ「罰ゲーム」
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「言い間違いだって」

「もう、誰でもいいから」と島田さんは険悪な顔をしはじめた。
それは周りにいた友人たちも同じだった。

私たちも告白したんだからナオもしなよと、言われている気がした。
あんたらにとって個人主義なんてクソくらえなのか。


ふと、ある人が思い浮かんだ。


どこにでもいるような普通の男子で、顔も頭もスポーツも中の中のそのまた中ぐらい。

でも、どことなく気になる印象があった。
これ以上、空気が重くなるのも面倒なので彼の名前を答えた。

「へぇー、意外。すっごい普通でしょ、アイツ」

1年のときに家庭科の授業で私たちはカレーを作る実習を行った。
40人が八つの班に分かれて調理をするのだが、
私は彼と同じ班でカレーの具となるニンジンやじゃがいもを切ろうとしていた。

まな板の上にある彼の手を見た。
爪の中が少し黒く、土みたいなものが入っているようだった。

洗いなよ、と言うと。
ああ、と彼は洗い場で水を出して爪の土を落としはじめた。

ついでに野菜も洗ってもらいながら爪について聞いてみた。
彼は園芸部に所属していて、作業をすると知らないうちにそうなるらしい。

ジジくさいね、と言うと。
うっさい、と彼が答えた。

健全な中学生が園芸部なんて普通じゃないと思う。

「じゃあ、いつにする?」
「えっ?」
「決まってるでしょ、告白する日」
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posted by c-book at 15:42| 【小説】くだらない話