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2015年06月25日

【小説】くだらない話 10

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side 神谷ナオ「罰ゲーム」
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鞄にしまってある封筒を取り出して中の紙をひろげた。


「ごめん」


何度見ても同じ、あきらめたはずなのに目がそれを追ってしまう。
私は持っていたシャーペンで文字の部分だけを黒く塗りつぶそうとした。

他は白紙なので質問も書ける。
しらじらしく友人たちにも回せるだろう。

好きな音楽とか、昨日見たテレビ番組とか、誰々がかっこいいとか、
たわいない話題にうずもれてしまえばいい。

ごめんが消えるくらい真っ黒にして負の思い出といっしょにごみ箱へポイしてやる、つもりだった。



紙に何か違和感をおぼえた。



よく見ると強い筆圧で押されてできた文字らしき跡が数多く残っていた。
この紙の上で何かを書いていたようだ。

シャーペンを軽く持ってその跡を優しくこする。
いくつか文章が浮かびあがってきた。



お手紙、ありがとうございました。


どう断っていいか分からず、


僕はあなたのことをよく知らないので、


渡されたときはすごくビックリして、



努力は認める。
だけど、これだけ考えて「ごめん」とはどういうことだ!
なんで書いてこないんだ。


やっぱり許せない。


このときの私はイタズラを思いついた三歳児のような顔をしていたのだろう。
隣の席にいた友人からどうしたの、と心配された。

元々あった興味が一気に膨れあがった。
純粋に彼を知りたくなったので、私は強攻策に出ることにした。
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posted by c-book at 15:54| 【小説】くだらない話