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2015年07月02日

【小説】くだらない話 21

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side 神谷ナオ「決意」
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次の日は、人生最悪の日になった。



1限目から体育の授業があり、私はマットなどの用具を片付けてから教室へ戻った。

席に着くと周りがなにかおかしい。雰囲気が色めいている。
隣にいた友達からおめでとう、と言われた。

訳が分からないという顔をしていたらあの女――
島田がやってきて、これ見よがしに私が書いた手紙をだした。


これなーんだ、


って決まっているあんたに一番見られたくないものだ。

最近様子がおかしいから調べてみたらすごいものがでてきた。
嫌がっていたくせに、やることやってるんだ。
まあ、良かったじゃん、おめでと。彼女は笑顔でそう言った。

何も知らないくせに、にやにやするな。

鞄を勝手に見られたことが許せなかったので、思いっきり振りかぶってビンタした。
以来、彼女とは口をきいていない。

あっ、と言うヒマさえなく当日の昼休みには、私は村沢先輩の「彼女」になっていた。
さすが噂の魔術師島田だ。

唯一の救いは、彼女にとって文通相手はどうでもよく、
それより村沢先輩と付き合うという内容のほうが注目すべき話題だったようだ。
彼に迷惑はかからないだろう。少しだけほっとした。

しかし、一番たちが悪いのは村沢先輩だった。
部に顔を出すと「ナオ」といきなり下の名前で呼んできた。


聞いた瞬間、何もかもがどうでもよくなった。


いいわけしても意味がないくらい噂は広まっている。
彼も、それを知っただろう。

私は先輩に愛想をふりまいてデートの誘いも嬉しそうに受けた。
恋人ごっこをしよう。文通を終わらせるまで。

こうなったのも私のついた嘘が悪い。
興味本意で彼に文通を強要したことがいけない。

天に吐いた唾が大粒の雨になって降りそそぎ、ずぶ濡れになって風邪をひくみたいなものだ。
誰か薬をください、と本気で願った。

そう考えて。悲劇のヒロインぶって。
自分を慰めた。
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posted by c-book at 16:50| 【小説】くだらない話