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2015年07月02日

【小説】くだらない話 22

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side 新井シンジ「晴れのち曇り」
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文通をはじめてから三ヶ月がたつ。
梅雨があけ、季節は夏になっていた。

神谷は先輩と付き合うようになった。
手紙にも遊園地へ出かけた、映画を一緒に見たという内容が多くなっていた。

思惑通りに話が進んでいた。
あとはこの手紙を出すだけだ。それで全部終わる。
机に座り、いつものようにノートを一枚ちぎり目的の言葉をつづる。

「文通をやめよう」

手紙を封筒に入れる。
大きく呼吸すると眠気が体を包み、僕はそれに身を任せるようにベッドへ倒れこんだ。

けたたましいアラーム音が鳴り響く午前八時。
目覚まし時計を止め、制服に着替えて学校へいく準備を整える。

BGM代わりにつけたテレビでは天気予報が流れている。
今日はくもりのち雨、降水確率は50%らしい。

夏に向けた植栽の準備は終わっている。
水やりもサボれるかもしれない。

僕は昨日書いた手紙を鞄にしまって部屋を出た。

空を仰ぐと、重くてあつい雲が一面を埋め尽くしていた。
青々と茂る草木も個人商店のカラフルな電飾看板もすべてが灰色に染まっている。

白黒のコントラストで世界が表現できそうだ。
学校への道を歩きながらそんなことを考えていた。

登校中にポストのある場所へ向かうには回り道をしなければならなかった。
しかし、僕はまっすぐに学校へと向かった。投函せずに直接手紙を渡そうとした。


最後くらいは、面と向かって話をしよう。


学校に着くと、下駄箱の前は朝の賑わいをみせていた。
大勢の生徒が行き交うなか、神谷の姿を見つけた僕は彼女を呼び止めた。
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posted by c-book at 16:58| 【小説】くだらない話