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2015年07月02日

【小説】くだらない話 25

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side 神谷ナオ「私と先輩」
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3限目、黒板に文字を書く数学教師から目線を窓際へむけた。
彼は窓の外にひろがる灰色の世界を感情もなにもない顔でじっと眺めていた。

私のことを考えているのだろうか――

いや、もうどうでもいいことなのだ。
目線を黒板に戻し、ノートに因数分解の数式を書きはじめた。

授業が終わり、彼は教室を出てそのまま帰っていった。
今日は午後から雨の予報がでていたから、たぶん部活動をサボったのだろう。

少しだけほっとした。

私は更衣室で制服から赤い上下のジャージに着替えて体育館へ向かった。
明日はバスケ部の練習試合が予定されていて、
選手のゼッケンやユニフォームの用意などをしなければならない。

帰ってひとりになりたいとも考えたが、別のことに集中して気を紛らせようとした。

鉄製のドアを引いて体育館に入ると、
シューズが床にこすれる音とボールを弾く音が大きくなった。
夏が近いこともあり、蒸し暑くしめった空気が満ちている。

バレー部や卓球部は屋外練習をしているため、今はバスケ部が広い空間を占領していた。
私は練習の邪魔をしないようコートの端を通って、奥にある倉庫へ行こうとした。

「おーい、ナオ」

呼び止められて振り返る。ああ、彼氏の村沢先輩ですね。
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posted by c-book at 17:04| 【小説】くだらない話