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2015年07月02日

【小説】くだらない話 27

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side 神谷ナオ「私と先輩」
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ついにきたか、と思った。
それを許すわけにはいかないので後ろへ一歩さがる。

「やめてください」
「いいだろキスくらい。それで明日さ、がんばれると思うんだよ」
「でも……できません」
「別にいいだろ。俺たち付き合って一ヶ月はたってるし、そろそろ許してくれてもさぁ」

先輩が一歩前に踏みだし、右手で私の腕を掴んで身体を引き寄せた。
その手は抵抗を許さないように力がこもっている。

ざわりざわりと雑木林が風で音をたてる。

私はなす術もなく抱きしめられた。
それと同時に、胸の奥で金属がこすれるような不快な気持ちがうまれた。

まわされた腕を振り払おうともがくが、外れない。

村沢先輩が顔を近づけてきた。
いや、と小さく言ったが先輩の耳には届いていないようだ。

顔を見上げる。
息が荒い。
唇が重なり合う数センチのところまできた。


私は悟った。


もう諦めてしまおう、忘れてしまおうと。

身体の力を抜いて静かに目をとじた。
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posted by c-book at 17:08| 【小説】くだらない話