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2015年07月02日

【小説】くだらない話 33

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side 新井シンジ「嘘つきと泣き虫」
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帰宅した僕は鞄から手紙を取り出して読みはじめた。



新井くんへ。

この前の手紙で彼氏ができたって書いたよね。

その話なんだけど、彼に文通のこと話したら誤解されてケンカしたの。

だからもう……

でも、最後にひとつだけ言いたいことがあるんだ。

新井くん、私にずっと嘘ついてたでしょ。

手紙の中のあなたは、教室にいる時と同じ。みんなの話に合わせて相槌をうって笑顔を振りまいて。

なんて言っていいかよく分かんないけど、受け流してる感じがした。

でもね、校舎裏にいる時はぼーっと何か考えてるみたいで。

その時ね、この人、好きなことしてる時はすっごく無防備なんだって、幸せそうだなって思ったの。

最初は去年の春先に校舎裏の花を見てすごくキレイだなって、

なんて言うか女の子が入れてもらえない秘密基地みたいな場所かな。

誰が育てているんだろって興味がわいた。

まあ、家庭科の授業中にその人を見つけられるなんて思わなかったんだけどね。

それで気になって手紙を渡したの。新井くんをもっと知りたくて。

でも、結局本当のことを書いてはくれなかった。

少しは書いてくれてたかもしれないけど、そこからあなたの本心は読み取れなかった。

手紙でも、ポケベルでも、日々の会話でも繋がりができれば何でも良かった。

今は心に響かない言葉も、繋がりを保ってさえいればいつかは分かり合えるって。

私は信じてる。

今も考えてる、新井くんを知りたい、本当に笑ってる顔を見せて欲しい。

馬鹿だって思うよ、フラれてるのに。

彼氏がいるのにズルイってことも分かってる。

うんん、ごめん。

こんなこと書いて。ダメだよね。

面倒くさいでしょ、私。

これっきりにする。今までありがとう。
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posted by c-book at 17:28| 【小説】くだらない話