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2015年07月02日

【小説】くだらない話 ナオ

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END それぞれの結末
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秋がきて冬がきて、春、夏と季節が一周した。
私のクラスは二階から三階へうつり、受験という宿敵を倒すための準備をしている。

今も授業を受けている最中なのだ。ああ、憂鬱だ。

村沢先輩は卒業してバスケのインターハイ定連校へ進学したらしい。
推測でしかないのは、あの放課後の騒動以来、彼にきっぱりと別れを告げたからだ。

私の勝手な嘘の犠牲になったのだから、
ファーストキスぐらいあげてもよかったとは思う。

窓ぎわの席に座って、あくびをしている彼に邪魔をされなければ――

彼は変わった。
前より笑わないし、口数も少ないし、ひとりでいることが多くなった。

それは、他の人が見ても分からないくらい微かで、
本人さえも気付かないくらい少しの変化なのだけど、私には感じられた。

今の彼が『本当』なのだと。



「ナオ、ちょっと…」と隣の席にすわる友人が声をかけてきた。
「何?」
「その顔、すっごいキモイんだけど」

笑って何がわるい。ほっといてくれ。

私は窓から視線を外して黒板へとむけた。
正直、因数分解とか連立方程式とか古文とか元素記号が将来の役に立つとは思えない。

けど、今の私にはそんなくだらない授業が必要なのだ。



卒業しても、彼と同じ制服をまた着るために。
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posted by c-book at 17:38| 【小説】くだらない話