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2015年07月06日

【小説】その瞳に写るもの 15

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「その情報、信用していいのか」
「どうですかね。この状況だと、ツーショットを拝むまで真相は分からないと思いますけど」
「確かにそうだな……」

俺は、彼らと共同戦線をはるべきだと思った。

表裏に配置されている人員を考えると彼らの方に分があるのは確かだ。
他に週刊誌の記者らしき人物も見当たらないため、特ダネを独占される可能性がある。

「差し出がましいのですか。ここで、一緒にハリコミさせてもらいたいのですが」

だが、記者は皮肉めいた口調で「残念だけど定員オーバーだ。
これ以上の人数でひそんでいると怪しまれる。警察を呼ばれるわけにもいかんだろ」

ある程度、予想はできていたが残念だ。
俺は記者らに名刺をもらって別れ、壁伝いに叙庵のまわりを一周した。

やはり、正門と裏門以外に出入りできそうな場所はなく、
門のまわりには植え込みの他に隠れられる場所はなさそうだ。

裏門にも記者がいるのを確認して、春花のいる茶屋へ戻った。

「あふぁ、おふぁえり」
「……口の中のものをなくしてから喋れ」

彼女は店先にある赤い布をしいた腰掛に座り、饅頭を食べていた。
俺の苦情が聞こえたのか湯のみのお茶をすすり、おいしかったと呟いてひと息ついた。

「どうだったの」
「残念ながら先客がいた」
「へぇ、どこのどこの?」

興味津々なご様子だ。

「カメラについてる光るやつと同じ名前の雑誌だ」
「……どうしよう。見にいきたい」と彼女は目を輝かせている。
「やめとけ。頼むからやめとけ」

彼らが春花の質問攻めに困り果てる姿を見てみたい気はする。
しかし、同業がする嫌がらせとしてはあまりにばかげている――
というか、本気で止めておかないと冗談が冗談ではなくなりそうだ。
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posted by c-book at 16:59| 【小説】その瞳に写るもの