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2015年07月06日

【小説】その瞳に写るもの 34

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その日はあいにくの雨模様で、春花は友人である里菜という女の子と一緒に傘をさして登校していた。
教室にたどりついたのはちょうど2時間目の授業が終わるころだ。

ふたりは両親が旅館を経営していることもあり、学校に遅刻が黙認されていた。

しかし、それだけの、だれもが納得できる特別扱いがもとで同級生から反感を買い、
聞こえるような陰口や無視というありがちで実に陰湿ないじめをうけていた。

性根の明るい春花は気に病むことなくすごしていたが、
まじめで気の優しい里菜は心労に絶えながら流行りが終わるまでやりすごそうとした。

休み時間になり、同じ組にいる女子が春花に話しかけてきた。

その娘は嫌味だけで構成された声色で、あんたもいじめる方に回ればいいのにと言う。
里菜を孤立させるための作戦なのだろう。

普段はうけながして無視をする春花だが、里菜にもそれが聞こえていたのか、
彼女は急に頭をかかえて教室の床にうずくまった。

神経性の偏頭痛なのだと、あとから聞いた。

春花は里菜にかけより保健室に連れていこうとするが、女子がまた口をひらく。


ほおっておけばいいのに。


耳から脳にその非情な台詞が伝達された刹那、春花は我を忘れて女子に掴みかかった。
彼女らの乱闘によって身近にある机や椅子がなぎ倒されていく。

教室は騒然とした空気に支配されていた。

やがて、傍観していた生徒らが春花たちの仲裁にはいるのだが、
激情にかられた女子が床に散乱していた筆記用具を投げはじめ、それが運悪く里菜の顔にぶつかった。

春花とその女子は停学10日を言いわたされ、里菜は心労もあってか、学校を休むようになったのだ。

「停学中、学校に内緒でお見舞いにいったんだ。
里菜のほほに白いテープが貼られてて、私は反射的に目をそむけたの」

春花は静かに言葉を続ける。

「そしたら、春花は悪くないから気にしないでって笑うんだよ。
里菜の方が……絶対につらいはずなのに」
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posted by c-book at 18:33| 【小説】その瞳に写るもの